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(1) 家庭・保護者との連携で重視していることについて
家庭・保護者との連携で重視していることに関して、全国1,221施設のアンケート調査結果を見ると、連絡帳74.3%(公営68.0%、民営81.4%)、園だより73.3%(公営75.2%、民営71.1%)、登降園時連絡58.2%(公営62.7%、民営53.2%)の3項目が他の項目よりはるかに高い数値を示し、全国の保育所ではもっとも日常的なものを通して、家庭・保護者との連携を重視していることが伺える。
“子育て相談”、“家庭訪問”、“緊急時の連絡”、“保育方針・内容についての話し合い”、“保健だより”といった10%に満たない項目やそれ以外の項目は、重要視するという比率は低い結果であったが、それぞれの保育所独自の取り組み方で、様々な角度から、家庭・保護者との連携を図っており、今後も、さらに多方面での取り組みを通して連携を深めて行く必要があると思われる。
次に項目別の調査結果をみる。
「連絡帳が子育て理解に役立っていると思うか」との質問に対しては以下の結果である。
「思う」・・・・・・・・・・・・・・87.1%
「どちらとも言えない」・・・8.8%
「思わない」・・・・・・・・・・・1.2%
「園だより、クラスだより等は家庭との相互理解に役立っていると思うか」との質問に対しては以下の通りである。
「思う」・・・・・・・・・・・・・・91.2%
「どちらとも言えない」・・・6.1%
「思わない」・・・・・・・・・・・0.4%
2つの項目とも、「思う」が圧倒的に高い数値を示したが、「どちらとも言えない」、「思わない」という回答も若干ある。このことは、連絡帳や園だよりが家庭・保護者との連携に重視されてはいるが、それだけでは不十分であるという見方も多少あるということであろう。一人親家族の増加、特に父子家庭の増加といった家庭・保護者の環境の変化が、連絡帳や園だより等だけではなかなか連携が困難になってきている、という見方を生んでいるのではないかと思われる。
また保育者一人ひとりにおいても、連絡帳等を通して、保育所での子どもの様子を伝えたり、あるいは家庭からの質問等に適切に答えたりということができているか、にもよるのではなかろうか。
連絡帳、園だより、クラスだより等は、記録として残るものだけに、慎重になる必要がある。特に連絡帳は個人のことが記載されているため、記載の仕方によっては連携を深めるどころか逆効果になってしまったり、苦情につながったりしかねない。しかし、あたりさわりのない記載ではその意味をなさない。その兼ね合いが非常に難しいと思われる。
日々交換される連絡帳が、家庭・保護者にとって子育てしていく上で役立つものになるよう、記載内容の検討もその都度必要であると思われる。
登降園時の連絡についても、ちょっとした言葉不足や事務的な対応等によってはトラブルになりかねず、理解してもらえないこともある。また、表面的には問題がないようにみえても、別の方法で苦情がまいこんでくることもある。日々何気ない言葉のやりとりで、保護者との適切なコミュニケーションをとりながら、家庭・保護者がいつでも相談や苦情が言える雰囲気を作っていくことはもちろんのこと、メールでのやり取りが普及している今日では、それらの媒体を通しての対応も必要になっていくのではないかと思われる。
今まで以上に家庭・保護者との連携に対する姿勢をあらゆる角度から見直し、改善していく必要があるのではなかろうか。
これは職員一人ひとりの力に大きく左右されることだけに、職員の質の向上に向けての研修も必要と思われる。
(2) 児童家庭調査票の記入依頼方法について
児童家庭調査票の記入において、約65%の保育所で、プライバシーに関することに対して、保育する上で必要なのでなるべく記入するように依頼している。またプライバシーに関する項目をなくしたり、記入したくない事項は無記入でよいと付記するといった配慮も伺える。これはプライバシーに関することが社会的に問題視されていることからであり、記入の依頼にあたっては慎重にする必要があると言える。
逆に必ず記入を求めるとする回答が0.7%ある。これは保育する上で、児童家庭調査票の内容が最低限必要であると考えていることによるものと思われる。
児童家庭調査票のひとつひとつの項目が保育していく上で本当に必要であるのか、その時々で新たな項目が必要になることもあり、充分に検討し、調査票が保育する上で役立つものにしていく必要があると思われる。
(3) 「保護者の職業」「家族構成」の記入について
児童家庭調査票の項目別にとった調査結果を見ると、「保護者の職業」、「家族構成」といった項目においては、子どもの家庭での育児環境を知る上で必要、場合によっては必要とし、記入を求める割合が90%を超す。
保護者の職業、家族構成を知ることは、乳幼児の家庭環境を把握する上でも必要なものではないかと思われる。
(4) 「出生時の状況」の記入について
児童家庭調査票の「出生時の状況」の項目においても「保護者の職業」、「家族構成」と同様に、子どもの生育歴を知ることは保育上必要、場合によっては必要とし、記入を求める割合が90%を超す結果となった。
子ども一人ひとりの健康管理をする上で、出生時の状況も把握していくことは重要と思われる。
(5) 母子健康手帳を見せてもらうことについて
母子健康手帳を見せてもらうことに関して、「あまりない」が42.5%、「まったくない」が36.4%と、約80%の保育所で母子健康手帳に対する必要性を感じていないことが分かった。
「よくある」「ときどきある」と答えた中で、高い数値を示したのは、大規模の都市部、関東地区であった。これは乳児の入所状況とも比例するのではないかと考えられる。
一人ひとりの子どもの状態を十分に把握して保育していくには、母子健康手帳の活用も必要と思われるが、全国の保育所ではあまり必要と感じていないということは、プライバシーの問題、守秘義務が伴うので、なかなか活用しづらい面もあるのかと思われる。
(6)連絡帳は役立っているか、(7)園だより、クラスだより等は役立っているかに関しては(1)に示したとおりである。
2001年4月28日付の朝日新聞に「託児時間の長い子は攻撃的」という見出しで、米国10都市の乳幼児1,364人の育っていく過程を10年間にわたって追跡調査した結果が記載されていた。
それによると、生後3か月から4歳までの時期に週30時間以上保育所などに預けられると、17%の子どもが攻撃的になるという。日本と米国とでは国民性や地域環境が異なり、一概にこの結果を当てはめることはできないが、保育所においては、週30時間以上預かることがほとんであると思われ、真剣に受け止めなければならないのではないだろうか。
様々な家庭・保護者との信頼関係を確立していくのはなかなか困難なことであるが、保育所として家庭・保護者の事情をよく理解し、それぞれにあった連携のあり方を考え、見直しながら、よりよい連携を構築していくことが必要なのではないだろうか。
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