地域に開かれた保育所の活動に関する調査研究報告書

II. 調査研究実施保育園の報告

2 和幸保育園 (青森県 青森市)

I 事業の目的
 当支援センターには、子育て推進委員会があり、資料1のとおり様々な関係機関とネットワークを結んでいる。そこで、今回は子育てネットワークを活用した地域の子育て支援活動のあり方に視点をあて事業を展開し、参加者のアンケートを分析しながら今後の方向性を考え役立てていきたい。

II 事業の概要
(1) 実施状況・結果
(i) 第1回みんなで集う地域子育て広場
<開催日>平成14年8月26日 (月) 9 : 30〜12 : 30
<場所>男女共同参画プラザ カダール研修室 (アウガ5F)
<スタッフ>小児科医1名 子育てメイト9名 連携保育園保育士2名
子育てサークル代表者1名 保健師1名 看護師1名
当園保育士2名 計17名
<対象>0〜3歳未満の未就園のお子さんとその保護者 50組
<参加人数>小人64名 大人60名 計124名
<内容>自由遊び育児相談
親子の触れ合い遊び (バルーン遊び他)
絵本の読み聞かせ
講演テーマ「夏風邪と予防接種のすすめ方」

 今回の研究事業は、ネットワークを広げるためにも地区を限定せず、広く市民に参加してもらうために、すべて出先機関を会場として選択し行われた。そのためか当初親子で100名の募集定員に対し124名の参加者があった。スタッフの中には初めて参加した方もいたが、チームワークも良く自由遊び・親子触れ合い遊びを通して泣いたりぐずったりする子もなく、時間まで楽しんで遊ぶ姿が見られた。
 しかし、参加者が多かったため「会場が狭かった」「講演の際、親子一緒の部屋であったため落ち着いて話を聞く事ができなかった」等の意見があった。

(ii) 乳幼児すくすく展
<開催日>平成14年10月12日 (土) 10 : 00〜14 : 00
<場所>青森県観光物産館 アスパム
1F イベントホール 2Fフロア
<スタッフ>県児童福祉司 市保健師 助産師協会 助産師 主任児童委員 子育てメイト 連携保育園園長・保育士 ボランティア 和幸保育園職員 子育てサークル8団体 子育て支援サークル(人形劇サークル赤ずきんエンゼルポケット) 計169名
<対象>0〜就学前のお子さんとその保護者・その他一般
<参加人数>大人1031名 小人630名 計1661名
<内容> テーマ「It's smile world」
 ・ 保育園児、サークル関係者による舞台演技
 ・ 手づくりおもちゃ、写真、作品展示
 ・ 絵本の読み聞かせ
 ・ 育児相談
 ・ 遊び体験
 ・ 乳児身長、体重測定
 ・ サークル活動展示
 ・ 妊婦シミュレーター体験等



 支援センター発足時から、子育てネットワークを結ぶために開催された「乳幼児すくすく展」も開催から8年を迎え、年々参加団体・関係機関の協力も増えてきている。スタッフ・参加者も保育園の就園・未就園にかかわらず、"地域の子どものためのお祭り"として、このイベントをとらえ、今回は特にサークルのお母さん方による親子手作りファッション等、「見ているだけで子どもからお年寄りまで、誰でも楽しめるように工夫されているのが嬉しい」との声が多く聞かれた。
 今年は、特にフライングゲームなど、各コーナー、子どもはもとより大人も「童心にかえり楽しめた!」という感想が多かった。また、この祭りに参加する事により「多くの人と交流できる」「他の親子の関わり方や、他の同年代の子どもの発達や成長を知る機会にもなる」という意見も多くあった。

(iii)第2回みんなで集う地域子育て広場
<開催日>平成14年11月1日 (金) 10 : 00〜12 : 00
<場所>アピオあおもり イベントホール
<スタッフ>県児童福祉司 市保健師 子育てメイト14名 連携保育園保育士3名 子育て支援サークル7名 子育てサークル代表者1名 当園保育士2名 看護師 保育士兼保健師 計31名
<対象>0〜3歳未満の未就園のお子さんとその保護者100組
<参加人数>小人112名大人100名 計212名
<内容>自由遊び専門職による育児相談
親子の触れ合い遊び (ゲーム遊び)
絵本の読み聞かせ 人形劇鑑賞 1.「大きなかぶ」
2.「とんちんかん念…そして」

 雨天で会場の駐車場が満車にもかかわらず、市内全域より親子100組以上の参加もあり盛況であった。前回より参加している子どもの年齢が低く、0〜1歳児が多かったため自由遊びでは、それぞれの年齢にあった遊びをみつけ楽しめていたようであるが、ゲーム遊び・人形劇鑑賞では飽きてしまい走り回る子も見られた。人形劇は、普段なかなか見せることができないので「良かった」との感想が多かった。
 また、自由遊びの時間を利用して専門職による、育児相談も同時に行われた。スタッフの要望もあり、面接という堅苦しい形式ではなく、子どもを側で遊ばせながら行ったため、相談者も子どもの成長・発達や健診・予防接種の進め方など、特に深刻な相談はなかったが話しやすかったようであった。

(iv)主な会議等の開催
1) 地域担当者研修会並びにサークルの集い
<日時>平成14年7月17日(水)
<場所>和幸保育園子育て支援センタールーム
<参加者>小児科医県児童福祉司市保健師主任児童委員
助産師協会 助産師連携保育園保育士3名
子育てメイト13名 サークル関係者10名
和幸保育園職員4名 計35名
<内容>地域に開かれた保育所の活動に関する調査研究事業内容の打ち合わせ
・みんなで集う地域子育て広場開催について

2) 地域担当者研修会並びにサークルの集い
<日時>平成14年9月25日 (水)
<場所>和幸保育園子育て支援センタールーム
<参加者>小児科医 県児童福祉司 市保健師 主任児童委員
助産師協会助産師 連携保育園保育士3名
子育てメイト7名 サークル関係者9名
和幸保育園職員5名 計29名
<内容>1. 第1回みんなで集う地域子育て広場の反省並びにアンケート集計結果について
2. 第2回みんなで集う地域子育て広場打ち合わせ
3. 乳幼児すくすく展最終打ち合わせ

3) 育児相談報告会並びに地域に開かれた保育所の活動に関する調査研究事業反省会
<日時>平成14年11月1日 (金)
<場所>和幸保育園子育て談話室
<参加者>県児童福祉司市保健師連携保育園保育士3名
子育てメイト14名サークル関係者ユ名
和幸保育園職員4名計24名
<内容>1.第1回・第2回地域子育て広場・乳幼児すくすく展における育児相談内容について
2. 3回にわたる地域に開かれた保育所の活動に関する調査研究事業の反省

 地域担当者研修会並びにサークルの集いは、ネットワークを結ぶため年4回開催され、事業の打ち合わせから報告、子育てに関する勉強会、情報交換など行われている。
 当初は、メンバーも少なかったが「乳幼児すくすく展」などのイベント同様、回を重ねるごとに参加者の口コミによりこの研修会への協力者も増えてきている。
 最終日行われた反省会においては、事業を通し「ネットワークの必要性や、それぞれの機関の役割を利用者に周知する事ができた」「今後も継続して、このような事業を行って欲しい」という要望が多かった。

III 評価・考察
−アンケート結果−
アンケート回収率1回目 (第1回みんなで集う地域子育て広場)…93% (56人)
2回目 (乳幼児すくすく展)…69% (711人)
3回目 (第2回みんなで集う地域子育て広場)…60% (60人)
 1回目に比べ、2回目・3回目は、小さい子どもを連れていた方が多かったため、回収率が下がったと考えられる。


 「とても良かった」「良かった」と答えた方で85%以上を占め、遊びの広場・講座等の必要性が伺える。しかし、少数ではあるが「あまり良くなかった」と答えている方も3〜5%程度あり、次回の計画を立案するうえで見逃すこのはできない。

問2 主に何が良かったですか?
 2回目のイベントと、1・3回目の子育て広場の開催では比較するのは難しいが、子育て広場においては、親子での触れ合い遊びが40〜50%・医師の講演23%・人形劇鑑賞15%と、親子で遊べるものに人気が高かった。
 イベントにおいては、舞台演技では、就園・未就園にかかわらず自分の家族が出ているものに関心が高かった。各コーナーでは「親子遊びを体験できるものが良かった」と答えた方が大半を占めていたがそれぞれ個々で目的があり、いちがいに何が一番と比較することは難しい。


 2回目のイベントと、1・3回目の子育て広場では多少PR方法が異なるが、「通信や園だより」と答えた方が最も多く、次いで「チラシ・口コミ」となっている。これはセンター利用者に郵送で通信を発行しているためと考えられる。また、今回は子育てメイトさんを活用した事によりチラシの配布や口コミも効果的であったようである。
 イベントの時は、テレビや新聞によるPRを行ったため、少数ではあるがそれらにより「催し物を知った」と答える方もいた。

問4 開催時期・場所についてどう思いますか?
 開催時期については、豪雪地域という事もあってか「春〜秋」と答えた方が最も多かった。中には、季節を問わず「定期的に行ってほしい」という意見も多かった。時間については、3歳未満の参加が多かったためか「午前中」「眠くなる前」と答えた方が半数以上を占めていた。
 場所については、どの催しも思った以上に参加者が多かったためか「もっと広い場所」「交通の便が良い所」「駐車場が広く無料の所」「騒いでもよい所」などの意見があった。

問5 今後このような催し物・講座等が行われるとしたら、どのような内容のものを取り入れてほしいですか?
 「同じような内容のもの」「育児相談」「講演会」「最新の育児情報」「ダンス」と答えた方が最も多かった。また、少数ではあるが「心のマッサージ」「冬の家庭の過ごし方」などの意見もあった。
 最近の傾向としては、「親子で触れ合いたい」というタイプと、「少しの時間子どもと離れてリフレッシュしたい」というタイプと二通りあると思われる。

※ 以下、ネットワークについてのアンケートによる。


 ネットワークを結ぶことについては、83〜100%の方が、「大変良い」「良い」と答えている。また、問6で「大変良い」「良い」と答えた方に、どんなところが良かったと思いますかと聞いたところ、「たくさんの人と交流できる」「いろいろな機関を知ることができる」「たくさんの角度から子どもを見てもらえる」と答えた方が大半を占めていた。これは、やはり少子化・核家族化により、まわりに同年代の子どもがいず、子育て情報の不足や仲間づくりの機会が少ないことを意味していると思われる。


 ネットワークを結ぶことで、育児不安が解消されると「思う」と答えた方が、60〜80%を占め最も多かった。しかし、「あまり思わない」「関係ない」と答えた方も8〜20%あった。また、「その他」と答えた方の中には、「不安の根源・問題の解決にはならないが少しは解消されると思う」という意見もあった。すべての人が、ネットワークを結ぶことで育児不安が解消されると思っているわけではないが、子育て機能が低下している今、「何かあった時、相談しやすい」「力になってもらえる」という安心感は感じているようである。

問8 今度どんな方にスタッフとして協力してもらいたいですか?
 この問いにたいしては、現在ネットワークを結んでいる方々(医師・保健師・助産師・児童福祉司・心理判定員・看護師・保育士・子育てメイト・子育て支援サークル・子育てサークル等)で大半を占めていた。中には「子ども服の販売員」「交通指導員」という意見もあった。

問9 今日の催しに参加してみてどうでしたか?感想をお聞かせ下さい。(自由記述)
具体的な記述としては、
 ・とても楽しかったです。
 ・また参加したいです。
 ・大変すばらしいことです。これからも続けて下さい。
 ・楽しい時間を過ごすことができました。
 ・子どもがとても楽しんでいたので良かったです。
 ・子どもにとっても、親にとっても良い刺激になりました。
 ・子どもの一生懸命な姿に元気をもらいました。
 ・子どもの成長がよくわかるので良いと思う。
 ・親子の触れ合い、地域の人々との触れ合いが良かった。
 ・とても参加者が多くて、お母さんと子どもと触れ合うことができて良かった。
 ・医師の話が聞けて良かった。参考になりました。
 ・普段、人形劇を見る機会がなかったので親子で楽しみました。
 ・たくさんの人達に出会えてとても良かった。
 ・子育てメイトの方に子どもを預けてみたいがどんな方がいらっしゃるのかわからず不安なので、こういう場でたくさん接してみたいです。
 ・子育てメイトの方が親切に対応してくれ良かったです。

今後への課題となる記述としては、
 ・講演のとき、できれば子どもの遊ぶ所は別室にして欲しい。
 ・人形劇に、飽きたみたいだった。
 ・会場が、少し暑かった。
 ・親は、すごく良いと思ったが、予想外に子どもがあまり興味を示さなかった。
 ・講演中、親同士のおしゃべりがうるさかった。マナー違反だと思う。
 ・駐車場がいっぱいで困った。

 以上、アンケート結果から、3回にわたり園外で行った催しは、それぞれ内容は多少異なるが、「親子で参加し、遊びや交流を楽しめた」という意見が多かった。しかし、会場の選択にあたり、駐車場の確保や交通の便・部屋の広さや空調など利用してみないとわからないという点も多く、参加者への配慮に対しては今後の課題が残る。また、講演の際の母子分離については、いつも問題となっているが、子どもの心理面を考えると、親側の理由はわかるが別々の部屋にすることが果たして良いのかどうかは、様々な考えもあり、更に検討していく必要がある。
 親子遊びや人形劇等においては、今回のように園外で実施する場合、遊具・教材は、すべて持ち込みとなるため、予想した人数より参加者が多くあったり飛び入り参加により、対象年齢が異なったりすると設定内容の変更が難しいということを実感した。今後、出先機関で継続して実施するためには、物的環境にあまりたよらず、保育士の力量により遊び方を工夫し展開していく知識を身につける事も必要であろう。
 ネットワークについては、スタッフ側から見て、地域子育て支援センターの役割を漠然ととらえていた関係機関の方々も、一緒に体験する事により必要性について一層理解を深めることができたようである。それぞれの園の保育士達も、いろいろな面でお互いに良い刺激となった。
 参加者側から見て、スタッフの数が普段より多かったため、一人ひとりと温かな触れ合いを持つことができた。今まで知ってはいたが交流する機会がなかった方々と接することで、すぐに利用したいという理由ではないが、育児不安や虐待防止の面でも安心感や心の支えが持てたようである。

以上のことをまとめると、ネットワークには次のような利点があると言える。
(ネットワークの利点)
・協力者は、多いほど、参加者一人ひとりと温かな触れ合いを持つことができる。
・色々な観点で子育てについて考える事ができる。
・いざという時に、連絡・調整が図りやすい。
・親に安心感を与える事ができる。
・喜び、悲しみを共有することができる。
・共に学び支え合い、助け合う事ができる。

IV 今後の課題と展望
 子育て機能が低下している近年、地域社会での子育て支援は欠かすことができない。当支援センターも9年目を迎え、普段利用している方に留まらず、地域に眠っている親子を掘り起こす事に、重点をおいて活動している。幸い青森県には、子育てメイトという子育て経験豊かな協力者が各地区にいる。しかし、まだなじみがなく、活動も地区によりばらつきがあるため、保育園側から、それらの方々を地域活動等に巻き込み、保育園同様、地域の子育てスペシャリストにしていくことが大切な課題であろう。
 今回、実施したアンケート調査結果からもわかるように、微力ではあるが、ネットワークによる事業は色々な面で効果があったように思われる。今後も、支援を必要としている方々のためにも、ネットワークを広げ充実し、地域ぐるみで親と子が安心して健やかな成長をとげることができるよう努力していきたいと思う。


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