地域に開かれた保育所の活動に関する調査研究報告書

II. 調査研究実施保育園の報告

6 博愛保育園 (山梨県 八代町)

1. 博愛保育園の概要
 八代町は甲府市の東部にあり、隣接している町村には温泉で有名な石和町等があります。八代町には2か所の私立保育園と2か所の公立保育所があります。博愛保育園は東八代郡のみならず、県内でも最も歴史のある保育園の一つで、今年で設立52年になります。

 八代町は桃や葡萄を中心とする果樹地帯ですので、以前は専業農家からの園児もいましたが、現在では全くなく、ほとんどの保護者は会社、病院、福祉施設、学校など、フルタイムまたはパートタイムで働いています。

 0歳児保育、産休明け保育、障害児保育、延長保育、子育て支援事業、電話相談、来所相談事業の他、和太鼓や音楽活動等を積極的に取り入れて、特色のある保育を行っているということもあり、八代町のみならず他市町村から多くの入園希望が年々増加し、昨年からは定員を90名から120名に変更しました。

2.事業の実施内容と結果
1) 看護学生と保育園児との交流
 第1回目 : 6月24日〜28日、看護学生8名と保育園児全員
 第2回目 : 7月1日〜5日、看護学生8名と保育園児全員

 看護学生の実習目的は病児と健康児との遊びの違いについてなので、0歳から5歳児クラスの中に入って、登園から降園するまで子ども達とともに遊び、給食の配膳から食する様子、片づけ、休息の取り方など、すべて子ども達と共に一日を過ごす。
 赤ちゃん (0歳児) クラスを担当した学生は、すべてが初めての経験ではあるが、優しくゆったりとした対応が必要だったことを知ることができたようだ。子ども達はお兄さんやお姉さんにたくさん遊んでもらえてとても喜んでいた。

 研修期間中に、(1)夏場に注意しなくてはならない病気、熱射病について、(2)乳児の突然死について、(3)異物が目や耳に入ってしまった場合について、プリントを用いて勉強会をした。

2) 地域の幼児にプールを開放
 第1回目 : 7月20日 (土曜日)、参加者は幼児17名、保護者13名
 第2回目 : 7月27日 (土曜日)、参加者は幼児18名、保護者10名
 第3回目 : 8月3日 (土曜日)、参加者は幼児12名、保護者8名

 地域の人たちには、チラシやポスター等で知らせ、希望者は保育園に申し込む形をとって実施した。集合時間は午前10時とし、希望者が集合したところで、保育室で着替え、準備体操をしてから屋上のプールに行き、保護者と共にプール遊びをした。元気いっぱいに水しぶきをあげ、あちこちで楽しげな歓声をあげていた。父親の一人はプールの中に入り、子ども達の手を取って泳ぎを教えたりもしていた。母親達はプールサイドから声をかげながら、幼児達を見守っていた。途中休憩時間には、幼児にはアイス、保護者には麦茶などの飲み物を配布し、11時半まで楽しく過ごした。

3) 小学校低学年児と保育園児との交流会
 8月9日 (金曜日) 午前9時〜11時半まで、博愛保育園において小学校低学年児と保育園児との交流会をもった。募集方法はチラシやポスター等を用いた。参加人数は小学生19名、保育園児72名、保護者3名。2名の講師が聖書物語をしてくれた。大きな箱船の模型の中に、ペープサートの動物たちがはいっていく様子を子ども達は楽しそうに見ていた。実際に箱船の中に子ども達も入ってみたりした。その他ゲームや歌唱指導などもなされた。
 最後は園庭にて、おやつを食べたり、シャボン玉遊びをしながら、小学生と園児との交流の時間を持つことができた。

4) 親子和太鼓教室
 第1回目 : 8月31日 (土曜日) 午後1時30分〜3時30分
  会参加者は大人27名、子ども21名 (小学1年生5名、3年生2名、保育園児14名)
 第2回目 : 9月14日 (土曜日) 午後1時30分〜3時30分
  会参加者は大人27名、子ども16名 (小学1年生5名、保育園児11名)

 会場は八代町総合会館多目的ホールで行い、申し込み方法はチラシを郵送したり、手渡しした。講師として和太鼓の専門の指導者を迎えて行った。講師より和太鼓の種類や音色の説明を受け、基本的な打ち方、姿勢等の指導をうけてから、実際に太鼓の演奏に挑戦した。子どもも保護者も練習を重ねるにつれて上達し、親子そろって和太鼓演奏を楽しむことができた。特別参加として、外国人の英語教師が日本文化を勉強するためにこの教室に加わり、共に有意義な文化交流の時を持つことができた。保護者が演奏に専念するために、保育士が乳幼児の託児を担当した。
 参加者の感想として、今後もこのような和太鼓教室を続けてほしいとの希望が多くあった。

5) 福祉センターへのボランティア訪問
 10月22日 (火曜日) 午後1時30分〜3時、会場は八代町福祉センター。八代町内にある福祉センターには多くのお年寄りがデイサービスを受けるために集まる。親子和太鼓教室で練習した曲太鼓を、お年寄り達に聞いてもらうために訪問した。多くの観客を前にしての演奏で、子ども達は緊張したようであったが、立派な演奏を披露し、お年寄り達に大変喜ばれた。その後一緒に歌を歌ったり、ゲームをしたりすることにより、お年寄りとの良い交流の時を持つことができた。最後に、子ども達からお年寄り一人ひとりに手紙とお菓子の入った袋を手渡したので、お年寄りはこれにも大変喜んでくれたようであった。

3. その他の事業
夏祭り : 7月13日 (土曜日)
地域のお年寄りと入園前の子ども達を招待して、園児の盆踊りや和太鼓の演奏を披露すると同時に、夜店などを楽しんでもらう。

高校教員との交流、並びに研修 : 7月26日 (金曜日)
生徒の職業選択を指導するために、高校の教師自身がまず保育士の仕事を理解したり、園児との交流を通して、保育園児の遊びや行動について勉強する。

博愛秋の運動会 : 10月5日 (土曜日)
地域のお年寄り、入園前の子ども達、小学生を招待し、いろいろな競技やゲームに参加してもらい、園児と共に楽しい交流の時を持つ。

餅つき大会 : 12月14日 (土曜日)
地域のお年寄り、入園前の子ども達、小学生を招待し、つきたてのお餅を食べながら園児と共に楽しい交流を持つ。

クリスマスおゆうぎ会 : 12月23日 (天皇誕生日)
地域のお年寄り、入園前の子ども達、小学生を招待し、園児のおゆうぎや器楽合奏を楽しんでいただき、サンタクロースから参加者にプレゼントを渡す。

4. まとめと考察
 7月から12月までの期間に、数々の「地域に開かれた子育て支援活動」を実施してきました。活動に直接関わって下さった地域の方々より、博愛保育園の子どもたちに対していろいろな感想を寄せていただきました。
 「とても子どもらしい」、「元気がいい」、「明るい」ということに加えて、「音楽活動や和太鼓の演奏を通して、子どもたちがきびきびとした、けじめのある行動が取れるようになっているのですね」、というような感想が多くありました。
 今や延長保育、0歳児保育、産休明け保育等は当然の時代になってきており、それに加えて、特色ある保育が期待される時代にもなってきています。「地域に開かれた保育園」であるために、保育園でどのような保育が行われているかをできるだけ多くの人々に知っていただく必要があります。
 たとえば、ホームページを開設して保育内容を公開したり、個人的な相談についてはメールによる対応にも努めております。イベント等の特別な事業に関しては、掲示板による広報活動を行っております。電話一本で保育園見学ができたり、園児と直接ふれあうことができるような体制作りをしていることもその一つです。0歳児、1、2歳児等の保育室において、子どもたちが楽しそうに遊んでいる様子、また保育士の優しい言葉がけや表情や動きなど、実際に見ていただくことも大切なことと考えています。
 保育施設の充実や豊かな保育環境もさることながら、保育士たちが子どもたちにどのような保育をしているのかを実際に知ってもらい、見学にみえた若いお父さんやお母さんが、安心して自分の子どもをこの保育園に入園させたいという気持ちになってもらえるような保育をしなければならないと思います。そのためには保育士は常日頃からいろいろな機会を捉えて研修を重ね、保育士としての資質の向上に努めていかなかればならないと考えています。

実施期間内の活動記録

事業名 看護学生と保育園児との交流実施日 6/24〜28、7/5〜9
会場 博愛保育園時間 8 : 30〜17 : 00
参加者 学生合計人数 16名担当者 園長、保育士
内容及び状況
看護学生の実習目的は、病児と健康児とのあそびの違いについてなので、8人の学生が0歳児〜5歳児クラスの中に入り、登園から降園までの子どもたちとあそび、給食の配膳、食する様子を観察、休息の取り方等、子ども達と一緒に一日をすごす。
実施上の評価・反省
看護学生とオリエンテーションを行い、園児との接し方、学生の行動等について、項目をあげて確認し合った。10日間、毎日8人の学生が園内ですごしたが、特別、大さわぎになるような事もなく、子どもたちは、お兄さん、お姉さんとあそべる事がとても楽しかったようだし、また、学生も小さい子どもと接するのが初めてという人がほとんどで、健康な子どものあそびを知るよい機会になったようだ。

事業名 地域の小さい子どもたちにプール開放実施日 7/20、7/27、8/3
会場 博愛保育園屋上プール時間 10 : 00〜11 : 30
参加者 3回の合計 子ども47名、大人31名担当者 園長、副園長、主任
内容及び状況
地域の方々や保育園児にポスターやチラシでプール開放のおしらせをし、申し込みをしてもらった。AM9 : 30頃より、家族づれで集まって来る。着替えや準備体操を行い、楽しいプールあそびがはじまる。元気いっぱい水飛沫をあげ、歓声の中、あちこちに笑声がひろがる。父親の1人はプールに入り、子どもたちと水をかけ合ったり、手をとって泳がせたりしている。
実施上の評価・反省
ポスターやプリント等でプール開放をおしらせしたので、大勢の親子が参加してくれた。3回だけでなく、もっと多く開放してほしい。安全なプールなので、安心して小さい子もあそばせることができたと大変好評だった。来年度よりできるだけ多くの日程で開放したいと思っている。

事業名 小学校低学年児と保育園児との交流実施日 8月9日
会場 博愛保育園ホール及び園庭時間 9 : 00〜11 : 30
参加者 小学生19名、保育園児72名担当者 園長、副園長、主任、保育士
内容及び状況
小学校低学年生には、交流会についてのおしらせを郵送したり、手渡しをした。東京聖書学校の先生と八代教会の牧師先生に、子どもたちにもよく理解できる聖書の中のおはなしをしてもらい、歌唱指導やゲーム等もしてもらった。その後、園庭に出てシャボン玉あそびをして、子ども同士の交流の時をすごした。夏まっ盛りなので、冷水器に麦茶を用意し、アイスやお菓子も提供した。
実施上の評価・反省
久しぶりの保育園で小学生はとても楽しそうだった。講師の先生方から聖書の中のおはなし「ノアのはこぶね」をしていただいた。大きなはこぶねを作ってきて下さったので、子どもたちは、その中に入ってあそんだり、写真を撮ったりした。シャボン玉あそびも楽しかったと子どもたちの感想。小学生の子どもたちが、うれしかった時、たのしかった時、困った事があった時、話にこられるような保育園でありたいと思っている。

事業名 親子和太鼓教室実施日 8月31日
会場 八代町総合会館多目的ホール時間 13 : 30〜15 : 30
参加者 子ども21名、大人27名担当者 園長、主任、保育士
内容及び状況
親子和太鼓教室の申込み書を郵送あるいは手渡しする。ポスターでお知らせする。講師の先生から和太鼓の種類や音色、基本的な和太鼓の打ち方、股割等の指導を受ける。1時間程打って休憩、冷たい麦茶を用意した。参加した子どもの他に、小さいお子さんをつれて来た方もいたので、託児もした。日本の文化を知りたいという希望で、浅川中学校の外国人の先生も参加した。
実施上の評価・反省
博愛の卒園児や在園児はすでに太鼓を打っているので、講師の先生の指示どおり、きびきびと打つ事ができ、さすがと思った。保護者の方達は一生懸命なのだが、形をきめることも、リズムを打つ事もむずかしかったようだが、打っているうちに楽しくなって、時間が経つのを忘れてしまったとの感想だった。外国人の先生の参加があったので、ボランティアで通訳をしてくれる人もいて、ジェフ先生も楽しく参加することができたとの感想。

事業名 親子和太鼓教室実施日 9月14日
会場 八代町総合会館多目的ホール時間 13 : 30〜15 : 30
参加者 子ども16名、大人27名担当者 園長、主任、保育士
内容及び状況
前回同様に多くの参加者がいて、和太鼓が足りない程だった。シンセサイザーを加え、曲太鼓に挑戦。前回より打ち方もむずかしくなったが、大人も子どもも真剣に取り組み、曲太鼓を仕上げることができた。今回も7名の託児を頼まれ、保育士がカーペットや遊具を持っていき、担当した。
実施上の評価・反省
2回だけで終わらせてしまわず、できれば和太鼓の練習を続けてほしいとの要望もあった。練習する場所が確保できれば、保育園としても和太鼓を地域に広めたいと思っている。

事業名 福祉センター ボランティア訪問実施日 10月22日
会場 八代町福祉センター時間 13 : 30〜15 : 00
参加者 保育園年長児と保護者担当者 園長、主任、保育士
内容及び状況
八代町内に福祉センターがあり、多くのお年寄りの方が通所で施設を利用されている。親子和太鼓教室で練習した曲太鼓を保育園児が演奏した。保護者の皆さんは太鼓を運んだり、設置する等、積極的にお手伝いをして下さった。太鼓の演奏の後、子どもたちとお年寄りとの交流で歌を歌ったり、ゲームをしてあそび、子どもたちが書いた手紙やお菓子を、会場の皆さん一人ひとりに子どもたちが手渡しをした。
実施上の評価・反省
大勢のお年寄りの方々が保育園児の到着で待っていて下さっていたが、緊張ぎみだった子どもたちも、大好きな和太鼓の演奏では自信を持って、堂々とした演奏をしていた。会場の皆さんも福祉センターの職員の方々からも、感激した、涙が出た、本当にすばらしい等、おほめの言葉をいただいて、子どもたちもうれしそうだった。ゲームや歌も楽しく、また、自分たちが書いていった手紙を渡し、お菓子のプレゼントもできて、よい経験となった。またの機会があれば喜んで訪問したいと思った。



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